ダイソー木材で作るスピーカーエンクロージャー  S.Yoshikawa

Webでバックロードホーンスピーカーの周波数特性を測っているページを見つけた。
測定は屋外の広い場所で注意深く行われていた。

それによると、低音から中高音まで、うねうねと波打つ特性だった。
開口部から出る音が正面の音に干渉してしまうようである。

開口部を狭くして行く実験もしていたが波打ちが少なくなっていた、
測定者は広い開口部は不要で狭くていいんじゃないか?という結論だった。

実験

筆者はコンデンサスピーカー(EK1mkU)とテクニクス10F10のバックロードホーンを持っていたが、
EK1mkUの方が自然な響き方をする良い音で、バックロードホーンは低音はよく出るものの、
やや不自然な響きをする感じがしていた。

そこで、バックロードホーンの開口部を分厚い本で塞いで聞いてみた。
完全に塞ぐと低音が出にくくなるのが判った、密閉型の音だ。
少し開けると低音の出かたが変わった、変な響きが消えてすっきりした印象だ。

これだけ塞ぐんならバスレフでいいんじゃないか?
どうせなら、もう少しサイズダウンもしたいって事で、10F10だけ残してヤフオクに出品。
無事にドナドナされて行きました。

製作

反り直し

ホームセンターを廻って木材を見ると、結構高い。木によるが900x250mmで千円/枚くらい。
ダイソーの木材は100円〜200円なので、コレを使って見ることにした。

ダイソー木材にはMDFと桐がある、MDFの方が固くて曲がりもないが、
丁度いいサイズが無いし、色が安物っぽいので止めた。
また、スピーカー用としては薄いが、大音量で鳴らす訳ではないから大丈夫かと。
この木材はソリが多いので近くの3軒を廻って多く在庫してる所から、選んで買ってきた。
店頭に有った木材
K1450x150x9mm
K2450x250x9
K3450x200x9
B5400x150x9mm
B4400x120x9
B3400x90x9
MDF600x400x6mm
MDF400x300x6
MDF400x200x6
板加工 直線切りをなるべく少なくすると、K1+K2、K1+K3、B5+MDFなどの組み合わせとなりそう。

材料
木板K1450x150x9mm8枚800円上下は400x150x9mmでも可
木板K2450x250x9mm4枚600円側面
木ねじ2.7x16or20mm72ケ420円
フェルト70x60cm1枚100円吸音材
糸のこ木用 100円
合計 2020円(税別)

木板の反りを直せないかと、片面に水を吹き付けて重しを載せてみた。
一時間もしないうちに湿らせた方が伸びて、逆に反ってしまった!
外して乾かしたら3時間位で反りが無い所まで戻っていい感じ。
だけど、次の日に見たら元の反り方に近い所まで戻っていた・・・

バフレスポート 箱にするには上下に来る4枚の板を230mmで切る必要がある。
ホームセンターに持ち込んで切ってもえば正確だが、気が引けたのでノコギリで切った。

スピーカー開口部は糸のこで開けた、バスレフポートは電動ドリルで穴を沢山開けて切り出した。
ナイフとヤスリで整形したが、断面はちょっとでこぼこしてしまった。
後で柔らかい木だからサークルカッターを使った方がきれいに開いたかもと思いました。

バスレフポートの筒は塩ビ管や紙筒も考えたが、アルミの空き缶を使うことにした。
上は缶切りで開け、下はカッターを当てて缶の方を廻してキズを付ける方法できれいに切れた。

スピーカーユニットとバスレフポートはなるべく離し、デザイン上でバランスのとれる位置にした。
板は木ねじで止めたが、位置出しもあって下穴を開けた、片側36ヶはなかなか多かった。
木が柔らかいので木ねじを押し込み過ぎるとすぐバカになってしまいそうだ。

設計

設計はこちらのページを使わせてもらった。
 自作スピーカー設計プログラム  DIY Sound

完成
大きさ167x449x248mm(1.2kg)
内容積約14リットル
ダクト52Φ 100mm(56Hz)→50mm(72Hz)
前のバックロードホンは204x450x285mm(5.5kg)だったので少しスリムになった。
10F10取説の推奨では8.7リットルなので、余裕ある大きさだ。
Technics EAS-10F10取扱説明書

木板の寸法は表示より僅ずつ小さかった。
吸音材はダクトから中高音が出て干渉しないようにと、裏蓋と下側に入れてある。

テクニクス10F10は10cmフルレンジとあるが、寸法を見るとFostexの12cmより僅かに大きい。
BOSEもちょっと前まで11.5cmユニットを多用してたし、ちょうど良いサイズなんだと思う。

測定、試聴

Wavegeneでサイン波を出し聞いてみたら、80Hzまでで65Hzが聞こえなかった。
聞こえない所を増強してもしかたないので、ダクトを短くして共振周波数を上げた。
これで65Hzも判るようになったが、もう片方はもっと聞こえた。
10F10が経時変化で変わっていたのかもしれない。なんせ30年位は経ってるからな。

サイン波を聞いた感じでは、周波数特性に問題は無かった。
ダクトに耳を近づけてみると低音が出ているのが判る、中高音はあまり聞こえなかった、
ヘルムホルツ共鳴は余分な音を出さない効果もあるそうだ。
測定もしてみたが、床などの反射の影響もあって、いまいち判らない。

音楽を聞いてみると、いい感じ。素直な音になってEK1mkUの音に似てきた。
エンクロージャーのビビリや定在波も特に影響していない位だと思う。
格安な木板でも意外と使えるエンクロージャーが出来たのでした。



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